モゴローなんちゃって日記

      フォト短歌、影、心に浮ぶ言葉たち。

「見える」ということ②

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(今日12:31 。仕事はお昼まで、さあ帰ろう。…本文とは関係ありません。)

視能訓練士ネタ2回目です。
人間の「見える」仕組みについてざっくりお話します。

 「見る」「見える」と言えば、まずは「目」です。
 目はカメラに例えられることが多いです。角膜や水晶体は、カメラで言えばレンズに当たります。そして網膜はフィルムです。今はデジタルカメラ時代ですが、フィルムカメラをイメージして下さい。目の中身は、硝子体と言われるゼリー状のものが入っているのですが、角膜・水晶体・硝子体は透明です。人体の器官の中で、この部分だけが透明だと聞いたように思います。透明なので外から入ってくる光が通るわけです。ここが濁ると、光が通らないので見えなくなります。例えば、一番わかりやすいのが、水晶体が濁る「白内障」でしょうか。硝子体に出血が起っても見えなくなります。
 そして、光が到達するのがフィルムに当たる網膜です。ここまで光が順調に通ってきても、網膜に支障があれば見えません。カメラではなく、映画をスクリーンに映す様子をイメージしてもいいかもしれません。光を遮るものがなく、ピントが合っていても、スクリーンが破れていたり皺があったりするとときれいに見えませんよね。そんな感じです。
 そして、網膜に映った像は電気信号に変えられ、視神経を通って脳に伝わります。このあたりはデジカメの方がイメージに合うかもしれません。視神経が障がいされても見えません。白内障と似た病名の「緑内障」は、視神経が痛んで起る病気です。「眼圧」という言葉をよく聞くと思いますが、柔らかい目の球状を保つための内側からの圧力だと思って下さい。私は「目の硬さです」と患者さんに言っています。ビーチボールを膨らませるとき、空気が足りないとペコペコになり、いっぱい入れるとパンパンになりますよね、そんなイメージでしょうか。眼圧が大きくなって視神経を痛めるのが緑内障ですが、人によって視神経の強さが違うので、眼圧の数値だけで良い悪いは決められません。そこのところは、しっかり医師に聞いて下さいね。
 その後、視神経の束が脳の中を通っていくのですが、脳腫瘍などでそこが圧迫されても見えなくなります。そして、映像の信号は脳に到達しますが、信号を受けとめる脳に病気があっても見えません。脳梗塞脳出血で見えなくなることもあります。
 そして、最後は「心」です。光が通る目も、視神経の通り道も、信号を受けとめる脳も、どこにも病気はないのに、「見えない」ことがあります。心因性視力障害です。
 小学生から中学生くらいの子どもさんの中にもけっこういます。学校健診の時期、毎年何人か、そういう子どもさんの検査をします。精神的なストレスで、見えることが上手く心に繋がらないような状態でしょうか。
 大体両目に起るように思いますが、片目だけという患者さんもいました。実際本当に片目をケガして、でも、それは治っているのに、そちらの目の視力が出ない。スポーツ系の部活をしていた学生さんで、ケガも部活中の出来事でしたが、どうも、その部活自体が心の負担になっているようでした。すぐ目の前で、とても辛い事故を見てしまった子どもさんが、遠くは見えるのに近くが見えなくなってしまったという話も聞いたことがあります。

 「見ている」ことを、心が受けとめることができて「見える」ことが完成します。目だけ、脳だけ、心だけ、ではなく、全体が機能して「見える」ことになるのです。「見える」こととは「全体的なこと」だと私は思っています。

なんですが…実は続きがあります笑。
次回をお楽しみに~。