モゴローなんちゃって日記

      フォト短歌、影、心に浮ぶ言葉たち。

「かに道楽」じゃなく

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 昨日は「成人の日」でしたね。成人式が中止になったところもあったようで、楽しみに準備していた人にとってはがっかりだったでしょう。一方、成人式に行きたくない人、行きたくても行けない人にとっては、どこかほっとした日になったかもしれません。
 私は「成人の日」とか、「成人式に出る」とか、「振袖を着る」こと自体にあまり興味はありません。
 私は成人式には行きませんでした。当時深い理由はなかったです。面倒くさいな…みたいな笑。親も何も言わなかったです。仲の良い友達にも行かない人がけっこういて、その友達数人と、なぜか奈良・京都を散策。そして大阪難波の「かに道楽」で蟹フルコース食って帰ったのでした。なんで「かに道楽」だったのか、未だ意味不明です。

 昨年、娘が成人の日を迎えました。娘は私と違って、世間で流行っていることには、とりあえず触れてみる派。成人式も行くし、振袖も着たいと言う。
 「振袖商戦」にはびっくりでした。高校を卒業すると同時に、振袖のカタログがたくさん送られてきました。まだ2年も先なのに? しかも、多分1回しか着ないのに高い!ひゃ~。うちはうちの経済事情に見合ったレンタルにしようとしましたが、思いがけず、昔娘さんが着た振袖を譲って下さる方がいて、それを着ることになりました。とってもすてきな振袖。他の小物はレンタルとリサイクルショップを利用。唯一、新品を買ったのが髪飾りでした。大きな造花が主流のようでしたが、娘には小ぶりのものが似合うように思い、ネット上のハンドメイドサイトを探して見つけました。これって母の愛よ~っと、一人暮らしをしている娘に写真を送ったのでした。写真はその時のものです。

 せっかくなので振袖姿もきれいに撮ってあげたいけれど、写真館は高い。狭い家は荷物でぐちゃぐちゃ。そうだ!美容院の予約が早朝だから式典まで時間がある、ならば、教会に行って撮らせてもらえないだろうか。私の通う教会は、そう大きくなく家庭的な教会だから許されたことだと思っています。どこの教会でもしている、できるわけではありません。念のため。
 私はスマホで適当に撮るつもりでしたが、なんと牧師先生の家族に趣味でカメラをやっている人がいて、本格的カメラに、牧師先生がライトまで持ってくれ、モデルさんの撮影会みたいになっちゃいました。そして、最後は牧師先生がお祈りをして式に送り出してくれたのです。節約…という不純な動機だったのに、なんて恵まれた成人の日なのだろう。この日の写真を見る時には思い出してね、たくさんの人と、そして神様が心にかけてくれたことを。
 これからの人生、困難はたくさんあると思う。なんとかそれを乗り切るために、心の助けになるものを、蓄えさせてやりたいと思ってきたけど、足りるかな、どうだろう。いや、必要な分は満たされたよね。そんなことを思いながら、私も見送りました。 

 娘は中学生の頃、人間関係のストレスが大きく、「人間関係をリセットするため」に少し遠くの高校に進学しました。中学時代辛そうにしている娘には「高校になれば、皆成長して個性を尊重できる文化になっていくから…」と言って励ましていました。でもそれは行ってみないとわからないことです。一か八かで言っていたのです。幸い高校、そして大学と良い出会いに恵まれて楽しい学生生活を送っています。

 成人式に行こうと思えるのは、今の自分の姿を昔の友達に見せていい、見せたいと思えるからだと思います。そして、行くことのできる環境にあること。成人式が大きく取上げられる成人の日を、辛く思う人もたくさんいると思います。成人式に行きたくても、家庭の事情や体調の都合などで行けない人もいるでしょう。今の自分の姿を、友達に見せたくない人だっているでしょう。娘ともそんなことをお喋りしながら、そして「よかったね」と伝えることができました。 

 少し遠い高校に行った娘が、成人式で会ったのは中学までの友達だったわけですが、娘は中学時代の友達に自ら話しかけることができたそうです。「こうして成長して、あの頃の友達に抵抗なく声をかけられるようになって良かった。」と言っていました。
 娘にとって、成人の日は「節目となる日」になったのだと思いました。これまでを振り返って、気持ちの整理ができたのです。成人式や振袖自体にどこまで意義があるかはわかりませんが、娘にとっては、それまでの時と、これからの時を感じる日になったのだと思います。

 さて、私にとって、この日もうひとつすてきなことがありました。写真です。娘と一緒に撮ってもらった写真。娘は若いので、素人がスマホで撮っても、まぁそこそこ…に写りますが、私、問題は私です。
本格的カメラと、カメラマンの腕、そしてライト!
近年稀に見る「奇蹟の一枚」になったのは言うまでもありません。
サンキュー、みなさま。