モゴローなんちゃって日記

      フォト短歌、影、心に浮ぶ言葉たち。

二千円

 

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おっちゃんの千円余分の優しさは今も私に打刻されてる

 

昨日に続いて2日連続遅刻してしまいました。電車が遅延したためです。遅延届けを出せば、遅刻扱いは免れます。

昨日も今日も10分の遅延。写真では見えないですが、「遅延時分」の10分という欄に印が入っています。

たった10分…、それって、普段から、ちょっと余裕を持って家を出ているなら間に合うんじゃないの~?って、まぁ自分でも思わないこともないですが、朝の10分は大きい。雨の日は早めに出ますが、晴れの日は、超ぎりぎりではないが、やや…ぎりぎりくらいに出発することが多いです。

言い訳ですが、職場が降りた駅からすぐであれば、昨日も今日も余裕で間に合っています、キッパリ!

でも、そこからバスに乗るのですよね。今日も駅到着は5分遅れただけでしたが、そうなると、バスが1本後の15分遅れになるため、やっぱり遅延証明書が必要になるわけです。

 

これまでの通勤人生、危ない橋を渡ってきましたが、れっきとした遅刻は2回?でしょうか。そのうちの1回は正真正銘の「寝坊」でした。起きた瞬間、いつもなら既に到着している時間であり、あまりにも明らか過ぎて、かえって落ち着いていました。ちょっとの遅刻なら、「急にお腹が痛くなって…」とか言ってしまいそうですが、この時ばかりは「寝坊しました。今から行きます。」落ち着いた声で、到着予定時刻を上司に告げてGO!

 

25年くらい前のことだったと思います。朝、改札に入ろうとしたら、定期がない!しかも財布も入ってない!なんてこった。これはヤバい。

歩いて10分、しかも自転車を使っていたので、家まで数分なのですが、家に取りに戻っていては、間に合いそうにない緊迫した状況。集合住宅の9階に住んでいたもので、エレベーターの昇降で時間を食ってしまう計算。

ここで思いついたのが、駅と家の真ん中くらいにある、とあるお家。同じ教会に通うご家族のお家でした。現在通っている教会ではなく、幼い頃から大人になって引越しするまで通っていた教会です。すぐ近くに教会があり、同じ町内から通っている人も多くて、日曜日以外でも道で会ったり。そのお家のご家族とも私は仲良くしていました。

あのお家に行って、お金を借りたら間に合うぞ。素晴らしい思いつき。

おっちゃん、おばちゃんとお子さん3人。たこ焼き屋さんをしていました。下のお子さんは学校に行っていたので、起きているであろう時間帯ではありましたが、それでも朝の7時台に「ピンポーンピンポーン」って、何事かと思ったに違いありません。

 

「どしたん?モゴローちゃん」出て来たのはおっちゃん。

「電車乗ろうとしたら、定期も財布もなくて、家に帰ってたら間に合わないし、千円貸してください!」

「よっしゃ」と言って、おっちゃんはすぐに奥からお金を持ってきてくれました。

「二千円持って行き~」と言って、往復千円で足りるのに、二千円お札を握らせてくれたのでした。

私は多分「明日、必ず返しますから。じゃあ、行ってきまーす。」みたいなことを言って、大慌てでドアを閉めたように思います。そして、ちゃんと間に合ったのですよ。ありがとう、おっちゃん。

 

おっちゃんおばちゃんと言っていますが、考えてみると、今の私より若かったかも。そして、そのおっちゃんとおばちゃんは、今はもう天国に行ってしまいました。平均寿命からすると、けっこう早くに行ってしまった。

偉そうなところが全くなく、そういう、ほんとにしょうもない頼み事が言えるようなお二人でした。

あの時、あのお家に行こう!あのお家に行けば何とかなる!と、ぱっと頭に思いつくことができたのは、いつも「モゴローちゃん」と言って声をかけてくれていたからだと思います。

つわりで食べられずヘロヘロになっていた時、お店の前を通ったら、「たこ焼き食べて行き~」と言ってくれたのだった。そんなことも思い出しました。

 

さて、明日からはちょっと早めに出よう。