モゴローなんちゃって日記

      フォト短歌、影、心に浮ぶ言葉たち。

レンブラント「放蕩息子の帰還」②

 続きです。「廃用性外斜視」の話に戻ります。
 右目と左目の視線が同じ方に向いていない状態を「斜視」と言います。片眼の視線が外向きになっているのを「外斜視」、内向きになっているのを「内斜視」と言います。上下もあります。
 「間歇性外斜視」と言って、外斜視の時と斜視でない時の両方混ざっている人がわりといます。集中して見ると斜視にはならないが、ぼんやりした時に片眼が外へ逸れてしまいます。外斜視になる頻度が増えたり、両目の視線を合わせるために目を寄せるわけですが、それがしんどくなってきたら手術がいいかもしれません。角度が小さい場合はプリズム眼鏡で対処できることもあります。手術の場合、大人なら1泊2日で可能のようです。こんな小さな「目」ひとつでも専門があって、斜視(神経眼科)を専門とする眼科医はほんの僅かです。斜視のことはよくわかっていない眼科医が多いです。先生も何も言わないしこんなものだ…と思い込まされている人がかなりいると思われます。外斜視だけでなく内斜視、上下斜視の人も手術適応なのに放っておかれている場合があるので気になる方ははっきり「斜視専門医に紹介して下さい」と言って下さいね。

 この絵のお父さんが「廃用性外斜視」かはわかりません。両目同等の視力があって左右交代で外斜視になるのかもしれないし(この時は右だった…右眼中心で左眼が斜視説は絵の主旨からしてないでしょう)、同等の視力があっても斜視になる時は右目か左目かが決まっている人もいるのでそれかもしれません。そうかもしれませが、私はこのお父さんの老いた弱々しい姿から右目は見えないために外斜視になっているように思えたのでした。ただ右目は黒いですね。角膜混濁はしていないし肉眼でわかるほどの強い白内障ではなさそう。弟を見ていると思われる左目も凝視している感じには見えません。良い方の左目も大して見えていないのかなぁ。兄と思われる右横の人、そして後ろにいる2人はしっかり見ている目なのが対象的ですね。
 お父さんは右目左目それぞれ見ているのでは…と思うかもしれませんが、左右同等の視力のある人でも斜視になった時には片眼に「抑制」がかかります。見えているけれど頭の中でそっちの映像を消しているのです。どうしてか?と言うと、左右視線が合っていないとそれぞれから違う像が見えて困るからです。「物が2つある」状態になりどっちが本物かわからなくなる。大人になって急に斜視になると「複視」と言って物が2個見えます。片眼を閉じないと歩けないくらいになる人もいます。ところが幼少時から斜視の人はその状態に適応するために片眼に抑制をかけて成長します。検査をすると、片眼ずつの視力は良いのに両目に像を映すと片眼の像は消えて見えないということが起ります。

①急性斜視②両目見えている昔からの斜視③右廃用性斜視
このお父さん、私の診断は③です笑。
まだ続く。
レンブラント「放蕩息子の帰還」③ - モゴローなんちゃって日記 (hatenablog.com)
前回はこちらへ。
レンブラント「放蕩息子の帰還」① - モゴローなんちゃって日記 (hatenablog.com)