モゴローなんちゃって日記

      フォト短歌、影、心に浮ぶ言葉たち。

告げる

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友チョコの味笑む君が本当に告げるは誰かどれにしようか
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 今や全然関係なくなったが、娘が小学校3年から中学まではチョコまみれになる2月の連休だった。「友チョコ」が登場したのは21世紀になってかららしい。バレンタイン商戦は馬鹿げていると思いつつ、世の中の流行事と、そして、娘の学校の人間関係に触れる機会でもあったので、私も巻き込まれる振りをして…実際巻き込まれていた笑。中学になると娘はクラブや塾で忙しい日々。ああ、このままだと最後チョコが足りないラッピング袋が足りないと夜中にギャーギャー騒動になる危機を感じ、優しいお母さんはあらかじめ多めに仕入れておく。台所はべたべたになるし、ほんまけっこうな騒動になっていた。
 小学5年生だった。友チョコ作りも3年目。せっせと作業する娘に「誰か、本当に渡したい人いないの?」と聞いてみる。すると、「うーん」と肯定も否定もしないでチョコを見つめている。迷っている顔つきが可愛い。そうか、いるんだ、そういう人。「じゃあ、その人の分も用意したら」「うん」…。最後までどうするかはっきり答えずに夜は過ぎた。当日の朝、「渡せるといいね」「うん」。さて、どうなったか夕方帰ってきた娘に聞くと、いつもは通るであろう時間にその子が通らなかったので渡せなかったと言う。そして「もういい」と言うのだ。私はその時こんなことを言ったと思う。「せっかく一生懸命作ったんでしょ。諦めずに渡してみたら。伝えた方がいいよ。」それに対しても娘は「うーん」と元気なさそうに答えるだけだった。次の日もダメならもうダメかなと私も思ったけれど、翌日は一番の仲良し友達が付き添って一緒に待ってくれたそうだ。そして、渡したのだと。娘の表情にはほっとしたような静かな満足が見えた。良かった。結果はどうあれ気持ちを伝えられて良かったと思った。誰に渡したのかわからなかったが、数日後、それが私も知っている幼馴染みの子だったとわかった。その子のお母さんが教えてくれたのだ。すぐ近所に住む子で、実はチョコを渡した日の夜に親子同士道ですれ違って挨拶していたのだ。その子のお母さんはそのとき既に知っていたそうだが、私と娘の様子を察知してその時には口に出さなかったと言う。良いお母さんだね。後日談としてはホワイトデーのお返しが豪華だったこと。ディズニーのシャーペンとかだったと思う。お姉ちゃんが選んでくれたそうだ。男子の方も家族で巻き込まれていると知った出来事だった。

(写真は高校時代のチョコ作り安定期のもの)